「変形性膝関節症」とは、膝関節を滑らかに動かすための軟骨が老化などによりすり減ってしまう症状です。ただ、加齢とともに発症しやすいよくある疾患の1つで、厚生労働省の調査によると国内では何らかの自覚症状を持つ患者が約1,000万人、自覚症状のない潜在的な患者は約3,000万人にものぼると推定されています。
この変形性膝関節症は、男性よりも女性に発症しやすく60歳を超える女性のうち、約6割から8割人が発症していると言われています。
徐々に症状が進行していくため、膝の違和感や痛みを感じたら早めに治療を開始することが重要です。
変形性膝関節症の主な原因は、老化による軟骨の劣化です。膝関節にある軟骨が加齢によって弾力性をなくし硬くなったり、日常生活の中で徐々に削られすり減ることで骨が変形していきます。
また、肥満や遺伝が原因のケースや、損傷の後遺症として発症するケースもあります。
初期症状では痛みを感じないケースがほとんどで、日常生活に大きな不便はありません。
自覚症状があっても「歳をとったら誰でもある」と見過ごしてしまうケースがほとんどです。
進行期では徐々に痛みが気になり出したり、日常生活に不具合が発生します。
末期症状になると日常生活が困難になったり、我慢できないような痛みに襲われるようになります。
症状悪化が進むほど、大掛かりな手術や長期間のリハビリ、治療が必要になります。
膝の痛みを我慢し続けると…
変形性膝関節症は症状が軽い内に治療を受けることで症状の進行を遅らせ、
痛みを緩和することが可能です。主な治療方法として以下のようなことを行います。
ただし、膝の痛みを我慢し続けて症状が深刻な場合には、すり減った軟骨部分を人工関節に置き換える「人工関節置換術」という手術を行うことになるでしょう。人工関節を入れてリハビリすることで、痛みや日常生活への障害を取り除くことが可能です。ただし、正座や膝に負担のかかる行為(重いものを運んだり中腰で力を入れる仕事やスポーツ)は基本的にできなくなるため、人によっては人工関節にすることで仕事を辞めたり、趣味を断念せざるを得ないこともあります。
人工関節を入れることは変形性膝関節症の治療方法として有効ですが、そのせいで大事な仕事や趣味を失ってしまったら今後の人生にとって大きな損失となります。人工関節にしたくない人や膝の痛みを大幅に緩和・改善したい人は、「再生医療」という新しい治療方法の選択が可能です。
再生医療では、すり減った軟骨付近に健康な細胞を移植する方法や、当院で行うような脂肪幹細胞を採取し点滴で体内に戻す方法などがあります。どちらも健康な細胞が持つ再生力を利用して、従来の身体機能を取り戻し、症状の緩和・改善を図ります。当院が行う「自己脂肪由来幹細胞治療」では、ご自身の脂肪から抽出した幹細胞を一定数まで培養してから体内に戻すことで、変形性膝関節症の改善を目指す治療方法です。
脂肪由来幹細胞は、軟骨細胞などに変化し傷ついた細胞の代わりに働く能力以外にも、末梢神経の炎症部位や神経障害部を起こしている部位に作用し、痛みの原因となる炎症を抑える働きがあります。そのため、膝関節の痛みに悩む人にとって効果的な治療方法と言えるでしょう。
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