再生医療コラム

2024/10/1

再生医療の費用相場とかかる治療方法を解説

再生医療とは

再生医療の概要

再生医療とは、事故や病気などによって失った身体の機能を再生させる医療のことを指します。

私たちの体は、本来一定の再生能力を持っています。

しかし、その再生能力を上回るダメージを受けてしまうと、身体機能の回復が困難になります。

そこで、ヒトや動物の細胞を利用して、身体の修復を助ける医療技術が開発されてきました。

これが、再生医療と呼ばれるものです。

具体的には、幹細胞体性幹細胞などの細胞を用いて、失われた組織や臓器の再生を促進する治療法のことを指します。

再生医療は、従来の治療法では改善が難しかった疾患に対して、新たな治療の選択肢を提供してくれる画期的な医療技術として注目されています。

特に、脳卒中脊髄損傷などの中枢神経系の疾患、関節軟骨の欠損、皮膚角膜の損傷など、幅広い疾患に対して応用が進められています。

再生医療の研究は日々進歩しており、将来的にはさらに多くの疾患に対して適用できるようになることが期待されています。

再生医療の主な治療方法

再生医療には、いくつかの主要な治療方法があります。

その中でも代表的なものが、以下の4つです。

  • 幹細胞移植
  • 細胞シート移植
  • 自家培養軟骨移植
  • 人工多能性幹細胞(iPS細胞)移植

まず、幹細胞移植は、骨髄や脂肪組織などから採取した幹細胞を患部に注入する方法です。

幹細胞は、様々な種類の細胞に分化する能力を持っているため、損傷した組織の修復に役立ちます。

次に、細胞シート移植は、患者自身の細胞を培養して作製したシート状の細胞を移植する方法です。

この方法は、心臓や食道、角膜などの治療に用いられています。

自家培養軟骨移植は、患者の軟骨組織を一部採取し、体外で培養して増やした後、再び患部に戻す治療法です。

関節軟骨の損傷に対して有効であり、スポーツ選手などに多く行われています。

最後に、iPS細胞移植は、皮膚や血液などから作製したiPS細胞を用いる方法です。

iPS細胞は、様々な細胞に分化させることができるため、再生医療の分野で大きな期待が寄せられています。

ただし、安全性の確保などの課題もあり、臨床応用にはまだ時間がかかると考えられています。

 

以上が、再生医療の主要な治療方法です。

それぞれの方法には長所と短所がありますが、患者の状態に応じて最適な治療法が選択されます。

再生医療は日進月歩で進化しており、今後さらに新しい治療法が開発されていくことでしょう。

再生医療の費用相場

オンライン診療の費用

再生医療は高度な医療技術を要するため、一般的に高額な費用がかかります。

そのため、まずはオンライン診療で医師とのカウンセリングを受けることをおすすめします。

オンライン診療では、再生医療に関する基本的な情報や治療方針などを確認することができます。

また、自宅にいながら医師と相談できるため、来院の手間や交通費を節約できるメリットがあります。

オンライン診療の費用は医療機関によって異なりますが、初回は1万円程度、2回目以降は数千円程度が相場です。

再生医療を検討している方は、まずはオンライン診療を活用して、治療の概要を把握することをおすすめします。

ライトクリニックの費用例

再生医療専門のライトクリニックの費用例を見てみましょう。

ライトクリニックでは、幹細胞治療を中心とした再生医療を提供しています。

以下は、代表的な治療プランの費用例です。

カウンセリング

ライトクリニックでは、治療前に無料のカウンセリングを受けることができます。

再生医療の専門医が、患者の症状や治療目的に合わせて、最適な治療プランを提案してくれます。

カウンセリングは、治療方針を決定する上で非常に重要なプロセスです。

納得のいくまで相談することをおすすめします。

術前検査(血液・尿検査、CT、MRI撮影)

再生医療を受ける前には、血液検査や尿検査、CT、MRI撮影などの術前検査が必要です。

これらの検査によって、患者の全身状態や治療部位の状況を詳しく把握することができます。

ライトクリニックでは、血液検査の費用は1万1,000円(税込)となっています。

CT、MRIの撮影費用は、提携医療機関での自己負担となります。

幹細胞治療(施術、追加施術)

ライトクリニックの幹細胞治療は、投与する幹細胞の数によって費用が異なります

以下は、幹細胞の数と投与回数別の費用例です。

幹細胞数 投与回数 費用(税込)
1億個 1回 220万円
1億個 2回 385万円
1億個 3回 550万円
1億個 4回 715万円

投与回数が増えるほど、費用は高くなります。

ただし、複数回のコースで申し込むと、1回あたりの費用を20%割引してもらえます。

追加の幹細胞治療を検討する場合は、割引プランの活用を検討しましょう。

術後定期診察

ライトクリニックでは、幹細胞治療後の定期的な診察を推奨しています。

術後の定期診察は、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後を目安に、計3回行うのが一般的です。

1回あたりの診察費用は、1,650円(税込)です。

定期診察では、治療の効果や副作用の有無などを確認します。

術後の経過を医師と共有することで、適切なアフターフォローを受けることができます。

キャンセルや変更について

再生医療は高額な治療であるため、キャンセルや変更の際の費用負担が気になる方も多いでしょう。

ライトクリニックでは、以下のようなキャンセル規定があります。

  • 幹細胞採取日の10日前までのキャンセル:33万円(税込)のみ負担
  • 幹細胞採取日の11日前以降のキャンセル:全額負担
  • 培養後、幹細胞の増殖が確認できない場合:16万5,000円(税込)のみ負担
  • 投与日決定後の日程変更:1回につき11万円(税込)の再培養費用が発生

キャンセルや変更の時期によって、費用負担が異なることに注意しましょう。

また、幹細胞の培養状況によっては、治療自体が実施できない可能性もあります。

治療スケジュールは慎重に検討し、変更する場合は早めに連絡することが大切です。

感染症をお持ちの方への注意事項

再生医療では、感染症を持っている方への治療にも注意が必要です。

ライトクリニックでは、感染症(B型肝炎、C型肝炎など)の患者に対応した専用の設備を用意しています。

ただし、感染症患者への治療には専用の設備や検査が必要となるため、追加費用が発生します。

具体的には、以下のような費用が追加されます。

  • 感染症対応の設備使用料:16万5,000円(税込)
  • 感染症の種類ごとの追加検査費用:1疾患につき4万4,000円(税込)

また、感染症の種類によっては、培養期間が通常よりも長くなる場合もあります。

感染症を持っている方は、事前のカウンセリングで詳細を確認することをおすすめします。

医師と相談の上、適切な治療プランを立てることが大切です。

再生医療のメリット・デメリット

再生医療は、損傷した臓器や組織を再生させる革新的な治療法として注目されています。

しかし、再生医療にはメリットとデメリットの両面があることを理解しておく必要があります。

ここでは、再生医療のメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。

再生医療のメリット

再生医療の最大のメリットは、従来の治療法では改善が難しかった疾患に対して新たな可能性を開いた点です。

例えば、脳卒中や脊髄損傷による後遺症、関節の変形や軟骨の欠損など、これまで完治が難しいとされてきた病気に対して、再生医療は光明を与えてくれています。

再生医療では、患者自身の細胞を使用するため、拒絶反応のリスクが低いというメリットもあります。

他人の臓器や組織を移植する場合、免疫抑制剤の服用が必要となり、副作用のリスクがありました。

しかし、再生医療では自分の細胞を使うため、拒絶反応の心配が少なく、より安全に治療を受けられる可能性が高いのです。

また、再生医療は移植手術に比べて侵襲性が低いという利点もあります。

移植手術では、臓器を摘出するための大がかりな手術が必要となりますが、再生医療ではそこまで大きな手術を必要としません。

体への負担が少ないため、高齢者や合併症を持つ患者にも適用しやすいと言えるでしょう。

再生医療のメリットを活かすことで、これまで治療が難しかった多くの患者に新たな希望を与えることができます。

医療技術の進歩に伴い、再生医療の適用範囲はさらに広がっていくことが期待されています。

再生医療のデメリット

再生医療は夢のような治療法ですが、現時点ではデメリットも存在します。

まず、再生医療は高額な治療費がかかることが大きな課題です。

先進的な医療技術を用いるため、治療に必要な設備や人件費などのコストが高くなってしまうのです。

また、再生医療の多くは保険適用外であるため、患者の自己負担が大きくなる傾向にあります。

治療費が高額であることが、再生医療の普及を妨げる一因となっています。

さらに、再生医療は治療効果に個人差がある点にも注意が必要です。

再生医療では、患者自身の細胞を使用するため、年齢や体質などの個人差が治療効果に影響を与えます。

同じ治療を受けても、患者によって効果の現れ方や持続期間が異なることがあるのです。

治療効果を確実に予測することが難しく、患者の期待に添えない場合もあります。

また、再生医療の中には、長期的な安全性や有効性が十分に確認されていないものも存在します。

特に、iPS細胞を用いた再生医療は、まだ研究段階であり、臨床応用には課題が残されています。

安全性の確保や品質管理の徹底など、再生医療の実用化に向けた取り組みが求められています。

再生医療のデメリットを理解した上で、適切な治療法を選択することが重要です。

医師とよく相談し、リスクとベネフィットを慎重に見極めることが大切でしょう。

再生医療の課題を克服し、より多くの患者に恩恵をもたらすための研究開発が進められています。

将来的には、再生医療のデメリットが解消され、より身近な治療法として定着することが期待されます。

高額な再生医療費を補填できる制度

再生医療は先進的な医療技術を用いるため、一般的に高額な治療費がかかります。

しかし、経済的な理由で治療を諦めてしまうことのないよう、再生医療費を補填できる制度があることを知っておくことが大切です。

ここでは、高額な再生医療費に適用される主な制度について紹介します。

公的医療保険の適用

現在、再生医療の多くは公的医療保険の適用外となっています。

つまり、再生医療にかかる費用は全額自己負担になるケースが多いのです。

しかし、一部の再生医療については、公的医療保険の適用対象となっているものもあります。

例えば、重症の熱傷患者に対する自家培養表皮移植術や、角膜上皮幹細胞疲弊症に対する自家培養角膜上皮移植術などが該当します。

これらの治療は、厚生労働省が定める「評価療養」に指定されており、一定の条件を満たせば公的医療保険を使うことができます。

保険適用の条件や自己負担額は治療ごとに異なるため、事前に医療機関に確認することが重要です。

公的医療保険が適用されれば、高額な再生医療費の負担を大幅に軽減できるでしょう。

先進医療の適用

公的医療保険とは別に、再生医療に適用される制度として「先進医療」があります。

先進医療とは、公的医療保険の適用対象とはならないものの、一定の有効性・安全性が認められた最新の医療技術のことを指します。

先進医療に指定されている再生医療としては、自家培養軟骨移植術や、歯髄幹細胞を用いた骨再生療法などがあります。

先進医療を受ける場合、治療にかかる技術料は全額自己負担となります。

ただし、先進医療に関連する診察や検査、投薬などの費用については、公的医療保険が適用されます。

また、先進医療の技術料が一定の金額を超えた場合、超過分について助成を受けられる「先進医療費助成制度」もあります。

先進医療を活用することで、最新の再生医療を受けつつ、経済的な負担を軽減できる可能性があります。

その他の補助制度

再生医療費を補填するためのその他の制度としては、以下のようなものがあります。

  • 高額療養費制度:医療費の自己負担額が一定の上限を超えた場合、超過分が払い戻される制度
  • 医療費控除:1年間の医療費が一定額を超えた場合、所得税が軽減される制度
  • 民間医療保険:入院や手術などの医療費を補償する保険に加入することで、自己負担額を抑えられる
  • 再生医療専用の補助金制度:国や自治体が再生医療の普及を目的として設けている補助金制度

これらの制度を上手に活用することで、高額な再生医療費の負担を軽減することができるでしょう。

ただし、制度ごとに適用条件や手続き方法が異なるため、事前によく確認しておく必要があります。

また、再生医療を提供する医療機関によっては、独自の分割払いプランや補助制度を設けているところもあります。

治療を検討する際は、医療機関に相談して、利用可能な制度を確認しておくことをおすすめします。

経済的な理由で再生医療を諦めることなく、適切な治療を受けられるようサポート体制の充実が望まれます。

再生医療の恩恵を、より多くの患者が享受できる社会の実現に向けて、今後さらなる制度の整備が期待されています。

まとめ

今回は、再生医療の費用相場と主な治療方法について詳しく解説してきました。

再生医療は、これまで治療が難しかった疾患に新たな光明を与える画期的な医療技術です。

しかし、その反面、高額な治療費がかかることが大きな課題となっています。

再生医療の費用は、治療内容や実施する医療機関によって大きく異なります。

幹細胞治療の場合、1回の投与で数百万円から数千万円の費用がかかるケースもあります。

また、治療前のカウンセリングや検査、治療後の定期診察なども必要となり、トータルの費用負担は決して小さくありません

一方で、再生医療にはさまざまなメリットがあることも事実です。

従来の治療法では改善が難しかった疾患に対する新たな選択肢となることや、自分自身の細胞を使うため拒絶反応のリスクが低いことなどが挙げられます。

ただし、現時点では再生医療の 治療効果には個人差があり、期待通りの結果が得られない可能性もあります。

また、保険適用外の治療が多いため、経済的な負担が大きいことにも注意が必要です。

とはいえ、再生医療にかかる費用を補填するための制度も整備されつつあります。

一部の再生医療では公的医療保険の適用対象となっているほか、先進医療に指定されているものもあります。

また、高額療養費制度や医療費控除など、医療費負担を軽減するための制度も활用できる場合があります。

再生医療は発展途上の医療分野であり、今後さらなる進歩が期待されています。

治療効果の向上や適用範囲の拡大、コストダウンなどが実現すれば、より多くの患者が再生医療の恩恵を受けられるようになるでしょう。

再生医療を検討する際は、治療内容やリスク、費用負担などについて医師とよく相談することが大切です。

自分に合った治療法を選択し、適切なサポート体制を整えることで、再生医療に希望を託すことができるはずです。

再生医療が抱える課題を克服し、誰もが安心して先進の医療を受けられる社会の実現に向けて、引き続き取り組みが進められることを期待したいですね。

記事監修者プロフィール

記事監修者:吹田真一吹田真一

資格

  • 日本麻酔科学会認定麻酔科専門医
  • 日本ペインクリニック学会
  • 日本区域麻酔学会
  • 日本肥満学会 会員
  • 抗加齢学会 会員
  • 麻酔科認定医
  • 日本心臓血管麻酔学会 会員
  • 日本周術期経食道心エコー認定

経歴

  • 国立循環器病研究センター勤務を経てLIGHT CLINIC開業