再生医療とは、けがや病気によって本来の役割を果たせなくなった組織や臓器に健康な細胞を移植することで、細胞の修復力を利用して正常な働き・身体機能を取り戻す医療方法全般を指します。簡単に説明すると「細胞が成長・再生する力」を利用した治療方法です。今までは症状を一時的に緩和するしか治療方法がなかったケガや病気に対しても、長期的な改善が期待できます。
再生医療は世界各国で日夜研究が進められており、実際の治療として既に利用されているものもあります。
代表的な例としては、
中にはニュースなどで耳にした治療方法もあるかもしれません。この他にも心筋梗塞や糖尿病、慢性疼痛など様々なシーンで再生医療が利用されています。
体の細胞には、既に体の一部(臓器や組織)となり働く「体細胞」と、普段は静かに眠っている「幹細胞」の2種類が存在します。「幹細胞」は体細胞のような役割がない代わりに、別の細胞に変化する性質(分化)を持ち、細胞が損傷したり減少したりするとその細胞に分化して身体機能を修復することができます。
再生医療ではこの幹細胞の性質を利用し、損傷したり減少した細胞を補い健康な状態を取り戻します。
一言で幹細胞といっても様々な種類があり、多性能幹細胞と体制幹細胞の2つに分けられます。
ここでは、多性能幹細胞と体性幹細胞について紹介します。
多性能幹細胞はどの細胞にも分化でき、基本的に限りなく増殖していく能力を持つ細胞の総称です。具体的には、受精卵(胚盤胞)が元となるES細胞や、皮膚などに他の細胞・遺伝子を加えて人工的に作られるiPS細胞などが挙げられます。
どのような細胞にも分化できる多性能幹細胞は「万能細胞」と呼ばれることもありますが、想定外の細胞へ分化したり突然変異を起こしガン細胞になるリスクなどが懸念されています。
体性幹細胞は、年齢や性別関係なく人間の様々な部位に存在し、特定の細胞に分化することができる細胞です。細胞の損傷箇所を修復したり細胞が減少した箇所を補い、健康な身体機能を維持する働きがあります。具体的には、骨髄移植に利用される「造血幹細胞」や培養方法により様々な細胞に分化できる「骨髄幹細胞」、慢性疼痛などの治療に利用される「脂肪幹細胞」などです。体性幹細胞は、分化できる細胞が決まっているためガン細胞に変異するリスクが少なく、すべて自分の細胞から採取できるため、拒絶反応の心配も少ないなどのメリットがあります。
当院が慢性疼痛への治療として行っている「自己脂肪由来幹細胞治療」は、体性幹細胞である「脂肪幹細胞」を利用した再生医療です。
脂肪由来幹細胞には、末梢神経の炎症部位や神経障害部を起こしている部位に作用し、傷ついた組織を治して痛みの原因となる炎症を抑える働きがあります。患者様ご自身の脂肪組織にある幹細胞を抽出し培養してから体内に戻してあげることで、拒絶反応のリスクを減らし傷ついた細胞を修復し痛みの原因となる炎症を抑え、慢性疼痛の改善が期待できる治療です。また、自己脂肪由来幹細胞治療により細胞が新しくなることで、身体機能の若返りやアンチエイジングも期待できます。
再生医療は従来とは異なる新しい治療方法です。安全性を確保するため「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」により、扱う細胞や治療内容などに応じて第一種から第三種の区分に分けられ、再生医療を提供する前に各審査を通過する必要があります。
当院が行う「自己脂肪由来幹細胞治療」は第二種再生医療等に分類されます。第二種では、医療機関で作成した再生医療の提供計画を「特定認定再生医療等委員会」という高度な審査能力を持つ第三者(再生医療に知見のある技術者など)に意見を聞いた上で厚生労働大臣に届出をする必要がある治療です。
また、厚生労働省への定期的な報告義務などもあり、新しい治療方法だからこそ安心して受診できるような法規制が整っています。当院でも、患者様が安心して治療を受けられるよう、まずはオンラインカウンセリングで症状のヒアリングや再生医療への疑問・不安にお答えします。
再生医療をご検討の方は、まずは電話やメール・LINEなどからオンラインカウンセリングをご予約ください。